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はじめに

2014 年のMSS(マネジメントシステム スタンダード)共通テキスト化を踏まえて、2015 年にISO の品質マネジメントシステム、環境マネジメントシステムが改訂されました。また2018 年には、労働安全衛生マネジメントシステムISO 45001が制定されました。

規格ありきの認証活動から、組織に存在しているマネジメントシステムの有効性を確認する認証活動へと ISO 認証審査の目指すべき方向性が明確に示されたことは、多くの組織にとってもマネジメントシステムの運用を見直す良い機会 になるものと期待されました。

しかし、システム改善の重要なツールである 「内部監査」が、認証審査のための単なる手続きや儀式になっていますと、運用組織が期待している成果を得ることが困難となります。「組織による組織のための内部監査」すなわち「自分達の課題や目的を理想的な形で達成させるために有益な内部監査」として、より積極的に運用することが望まれます。

内部監査は組織活動を定期的に見直す有効な機会であり、意識(認識)の改善や 行動(パフォーマンス)の改善習慣(プロセス=手順)の改善 に対してきっかけを見つけ出すための活動です。

過去の審査活動を通して会得した知見を皆様に提供することにより、社内システムの有効性改善に寄与する内部監査活動の普及に貢献することを願って、ISO-MS 内部監査員に必要な基礎知識を『内部監査員 育成研修』用にまとめて提供しております。

 

 

ISOS掲載記事

・(ISOS2014)建設ISOの今

・(ISOS2015)ISO維新・事務局マニュアル原稿

・(ISOS2016)逐条からの脱却

・(ISOS2017)気づきの質問力

・(ISOS2019)内部監査が変わらなきゃ!  他

提供情報

★(ISOS2014)建設ISOの今より:建設工事における二つのリスク

MSSの共通テキスト(以下HLS)における用語の定義では、リスクを不確かさの影響と表現しています。

どの様な仕事にも不確定な要素はあり、順調にいけば納期短縮や利益向上につながりますが、ひとたびトラブルが発生すれば、納期の遅れや収益の赤字につながります。特に建設業では、図面上でしか完成後のイメージが確認されていない(現状存在していない)構造物を納期までに確実に完成させることが要求されています。工事の担当者の頭の中には、要求された工期内に想定した利益を確保するための不安の種 (不確定な要素)が沢山存在しているのです。

ここで、建設工事における二つのリスクについて考えてみたいと思います。

①事業上のリスク:企画、設計上の安全、環境、採算性配慮等に関するもの(設計者、発注者、受注形態等に起因するもの)。

②施工上のリスク:立地条件、土質、気象、海象、災害・事故の発生に繋がる危険要因の存在、並びにそれらに伴う材料調達、労務調達、資機材調達等のリスク(基本的に施工者、請負者で対応)。

この二つのリスクを、コントロールするためにマネジメントシステムは、どのように活用することが出来るのでしょうか?

建設現場におけるマネジメントとは、リスクを管理して思惑通りに工事を進めることであり、マネジメントシステムとは、思惑を達成するために運用するPDCA管理の手法と言えます。

先進国のニーズに対応した9001、14001規格の理解(2015改正のポイント)

・利害関係者のニーズ機会を現場管理にどう活かすのか?

・情報共有、情報開示のコミュニケーションがトラブル回避に役立っているのか?

・変更、変化(非定常時)に対応出来るシステムが機能するのか?

 

<利害関係者のニーズ期待>

・SDGsの世界的な気づき(ニーズ≒行政の課題)への取組みが企業活動の評価に関わる。    (提案、工事成績etc)

<環境側面>

・自分達に管理ができ、影響力が発揮できる課題は無いのか?        ・                           (公共工事において請負業者の発揮できる影響力は、意外と小さい)

<目標の策定>

・作業環境、施工時期、工種・工法、完成構築物の用途等、工事に関わる条件が既定されている中で、組織評価の向上に繋がる取組みや監視指標を探ること。

・イメージではなく、やる気を5W1Hで具体化することで成果につなげる

<認 識>

・取組み、指標、目標を選択した必要性や重要性の認識を作業者と共有し高める

<組織の知識>

・成功事例や失敗事例(他山の石)の活用ができているか?

・法改正や新しい技術の収集、伝達、活用、周知、展開で目標の達成と評価向上に貢献できる。

<外部コミュニケーション>

情報開示(お知らせの活用)でトラブルを回避。 ・・・などなど